中学生相手の塾講師アルバイトはきつかったのはなぜ?
次は塾講師のアルバイトをした方の体験談を紹介します。
私が大学生だったころの話です。
今から30年前のことになってしまいます。大学2年生の時です。
大学のクラスの友人から、塾講師のアルバイトをしてみないかと誘われました。当時、私は教職課程のカリキュラムを履修していました。
大学4年になれば、教育実習が待っています。自分で授業をしなければいけません。
その事前演習も兼ねてという軽い気持ちが半分あって、誘いに乗りました。
しかし、バイト先の塾は、高校受験のような受験対策のためではなく、言い方が悪いですが、中学校の授業についていけない落ちこぼれや非行に走ってしまった生徒が対象のところだったのです。
担当教科は、英語と数学でした。生徒たちは、例えば英語に関しては、アルファベットが書けないレベルの生徒が半分近くいました。
彼らに文法用語の解説をしたところで、英語の土台がまったくできていないのですから、まったくの無駄でした。
そこで、塾の経営者である塾代表にアルファベットから教えたいのですがと申し出たのですが、却下されました。
これには大変当惑しました。
代表が言うには、彼らに学力をつけさせるのがこの塾での目的ではないというのです。
つまり、学校や家庭でつまはじきになっている子どもたちの居場所として、この塾があるというのが基本的な理念だったのです。
それならば、どうして生徒たちに時間の無駄としか思えない授業をするのか、私にはさっぱりわかりませんでした。
代表は、授業をうけていること自体に意義があるというのです。すぐにやめたくなりました。
しかし、それではあまりにわがままがすぎると思い、1学期が終わるまで塾講師は続けようと決意しました。授業をするのは苦痛にしかなりませんでした。
生徒たちは寝ているか、おしゃべりをするか、漫画を公然とよむなどして、授業時間を消化していきました。
自分は、なんでこんなことしているのか。いくらお金を稼ぐためとは言っても、こんな無駄なことをして、ただ我慢するっていったい何なのだろう。
そんな疑問が、私の頭を支配するようになったのです。私の悪い性分として、いったん何かについて考えこんでしまうと、それがどんどん深みにはまってしまうのです。
こうなると、睡眠時間が極端に減っていくのは当たり前です。授業の下準備には、それほど時間を使わなくてもよかったです。
しかし、社会人として職業についたら、こんな無駄なことに我慢しなくてはいけないのかと暗澹たる気持ちにさせられました。
そんな感じで、1学期が終わり、塾講師はやめました。これを教訓にして、職業として学校の教師を選択するのはなるべくさけようと思いました。
現在、学校で教員が置かれている環境がブラック企業と大差ないことが報道されています。
学校の教員にならなくてよかったと思っています。